MSE(MARPE)+インビザライン①

15歳11ヶ月、女子。噛み合わせが深く、下の前歯のガタガタを主訴に来院されました。お話を聞くと、いびきや慢性的な鼻詰まりがあり、扁桃腺も腫れやすく風邪もひきやすいとのことでした。口腔内とセファロレントゲンで診断したところ上顎前歯部の歯の軸が立ちすぎていて、また上顎の歯列の横幅も狭くそれにより下顎が後方に押し込まれている噛み合わせでした。

噛み合わせは深く(過蓋咬合)上顎はV字型で前歯は押し込まれており台形のアーチとなっている。 またセファロレントゲンにより下顎は上顎前歯にあわせて後退している。耳鼻咽喉科医にて対診をおこなったところ、鼻腔通気も悪くアデノイド肥大も認められた。

治療計画:上顎の拡大、それによる下顎の前方成長促進による非抜歯矯正としました。そこで上顎の拡大ですが16歳と成長が終わっている年齢のため、通常の拡大装置よりも、正中口蓋縫合の離開を確実に行うためにMARPE(Miniscrew Assisted Rapid Palatal Expansion)を使用することとしました。MARPEとは口蓋にネジをいれて拡大する手法で代表的な装置名はMSEがあります。今回は上顎が最も拡大しやすい位置にネジを入れるため、CTデータと歯のスキャンデータでオーダーメイドで装置を製作しました。

矯正用ネジ(アンカースクリュー)の埋入位置のシュミレーション


MARPE装置をセット、ネジを埋入し拡大。3ヶ月後マウスピース矯正装置(インビザライン)に移行。

矯正前(上段)MSE装着3か月後(中段)インビザラインによる矯正治療(下段)

歯と唇との間の空間(バッカルコリドー)が改善



MSE装着後2ヶ月程で、いびきが軽減し鼻閉の改善、また風邪をひいても軽症ですむようになったとのことで、ご本人、親御さんからも喜ばれ、自身も健康面の改善に寄与できたのではないかと大変嬉しく思っております。あくまで矯正の副次効果ではありますが、MSEやMARPEはいびき、鼻閉の改善する可能性のもてる治療法と考えております。

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